「不確定性原理」が古典物理学を変えた!

壮大で正確無比な天体の運行を観察して、複雑極まりない人間の生命まで、さらに小さな虫の一生もあらゆるものを総括してすべてが予定の筋書き通り動いているのかも知れないという疑問に対して明確な答えをもたらしたのが「不確定性原理」である。19世紀までの古典物理学によると、自然現象の推移はすべて機械論として説明できると考えられていた。もし人間も機械の歯車のひとつにすぎないとすれば、すべての現象は一分一厘の隙もない因果律でピシャリと抑えられ、原因から導かれる必然の結果に向かってただひたすら走り続けるものであると考えられていた。古典物理学の反対語は量子物理学である。ハイゼンベルグは実験により電子の運動量と位置は同時に確定することはできないという理論から従来の因果律を否定した。いわゆる、完璧に電子の動きを予測することができない以上、ここに因果律は働らいていな  いということである。ここから星の運行により、あなたの人生が左右されたり、運命論者のいう人の一生はすでに決定されているということはこの物理世界ではあり得ない話なのである。(写真はハイゼンベルグ)確率論による予測を除いて、われわれに精神的影響を与える「因果律」を論理的に排除しないと、まともな思考ができなくなってしまう。この「不確定性原理」と併せて「不完全性定理」(ゲーデル)を理解することにより「世の中には、完全なものはなにひとつなく、未来を完全に予測することも不可能」というこの世(物理世界)のルールが自分のものになる。